2012年03月05日

ツバキの下

3月に入り,筑波周辺では少しずつ暖かな日も増えてきて,ようやく春の足音が聞こえ始めてきた気がする。とはいっても,今年はなかなか春らしい陽気の日がやってこない。梅の花もまだ咲きはじめのままである。これだけ寒い日が長引くと,カシタケの発生も今年はだいぶ遅れそうな気配である。3月中にカシタケを見るのは難しいだろうか。

昨日は,笠間市の愛宕山と言うところに行ってみた。旧岩間町の市街地からほど近い場所にある低山で,加波山や吾国山など,八郷方面から連なる山々を縦走する,ハイキングコースの一部にもなっている。山頂付近には愛宕神社というところがあり,防火の神様として信仰があついようだ。神社周辺にはシイ・カシの木が多く茂り,きのこの観察にもよさそうな場所だった(画像1)。

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画像1.笠間市の愛宕神社周辺のシイ・カシ林。カシタケが出るだろうか。

神社の近くからは,旧岩間町の市街地や,涸沼が見えた。昨日はうす曇りで,写真に撮ると,遠くの景色はぼやぼやしていた(画像2)が,晴れていれば海岸線も見えそうである。

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画像2.愛宕神社の境内から涸沼の方向を望む。

神社の周囲には,ツバキの木がいくつもあった。それらの樹下には,ツバキキンカクチャワンタケがたくさん生えていた(画像3)。

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画像3.ツバキキンカクチャワンタケがよく出ていた。

ツバキキンカクチャワンタケは茶碗の部分から細い柄を伸ばし,地表付近にある黒い菌核に連なっている(画像4)。このきのこは早春の訪れを告げる種類で,例年2月下旬から3月上旬になると,茨城県内でもあちこちで見られるが,今年も時期がずれることなく,発生しているようで安心した。

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画像4.早春のきのこ,ツバキキンカクチャワンタケ。子嚢果は黒い菌核に連なる。
posted by きのこのねどこ at 19:22| きのこ,菌類

2012年02月13日

南大東島の固有生物

今日の南大東島は最高気温が25度近くまで上がり,よく晴れて暑い一日だった。今日は,海岸植生やダイトウビロウの林などを見て歩いた。きのこはオキナタケの仲間やキクラゲが少数見られた程度で,もっぱら植物観察などに時間を費やした。

島の周囲は断崖絶壁で,ごつごつした岩肌からなる海岸線が続いており,島が隆起環礁からなっていることをよく示している。今日はよく晴れたので,海の色も深い青色で,ことのほか美しかった(画像1)。

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画像1.海が非常に青く澄み渡っている。

このような南大東島の海岸には,独特の植生が見られる。日本では南大東島と北大東島にのみ分布するボロジノニシキソウ(画像2)は,ほかにマリアナ諸島やオーストラリアに分布するトウダイグサ科の植物である。

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画像2.ボロジノニシキソウ。南半球起源の植物なのだろうか?

また,南大東島には,小笠原諸島と共通して見られる植物も分布する。ムニンハマウド(画像3)は,島の海岸にごく普通にみられるが,その和名が示す通り,もともと小笠原諸島で記載された植物である。

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画像3.小笠原諸島との共通種であるムニンハマウド。

さらに,赤い実が特徴的なアツバクコ(画像4)は,南・北大東島のほかに,やはり小笠原諸島と,さらにハワイにも分布するという。どこが起源で,どのようにして分散してきたのか,興味深い。

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画像4.アツバクコもやはり,小笠原諸島との共通種である。

南大東島の植物は,沖縄本島など南西諸島との共通種ももちろんあるが,固有種や小笠原諸島との共通種もあり,生物地理学的に大変面白い場所である。ちなみに,島の内陸部をかつて覆っていたと考えられるダイトウビロウ(画像5)は,南・北大東島に固有の植物である。

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画像5.ダイトウビロウは現在でも,崖など農地として利用されていない場所に多く残っている。

固有生物といえるかどうかわからないが,南大東島には「大東犬」と呼ばれる飼い犬がいる。一見すると普通の日本の雑種犬のような趣だが,足が短く,がに股である点が特徴だという(画像6)。現在では純粋な大東犬の数はきわめて少ないようだ。足が短くなった理由として,台風で吹き飛ばされないようにするため,といった説があるようだが,その真相は明らかではない。

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画像6.大東犬。確かに足が短い。

今日で調査は終了したので,明日の午前中に南大東島を出発し,那覇空港を経由して,夕方に羽田空港に到着する予定である。
posted by きのこのねどこ at 17:26| 自然

2012年02月12日

南大東島のきのこ

昨日から滞在している南大東島は,沖縄本島から東に約400q,東京都の小笠原諸島から西に約1,100q離れた太平洋上にある。絶海の孤島というべき環境で,周囲には北大東島と沖大東島がある以外は,陸地はない。南大東島は離島の中の離島といった感じだが,意外にも島内は内陸的な景色が広がっていた(画像1)。

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画像1.南大東島の風景。北海道の美瑛あたりをほうふつとさせる景観である。

南大東島は,島内の多くの場所がサトウキビ畑になっている。島の基幹産業はサトウキビ栽培である。サトウキビ畑が広がる風景は雄大で,ここが離島であることを感じさせない(画像2)。

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画像2.サトウキビがざわわ,ざわわと風に揺れていた。

南大東島には,もともとダイトウビロウなど固有の植物からなる森林が広がっていたが,約110年前に八丈島から初めて移民が訪れて以来,開墾が進んだ。この島の最初の住民は沖縄の人ではなく,八丈島の人であるというのも特色で,この島には八丈島や本州の文化と,沖縄の文化が混在して存在している。ちなみにテレビも,なぜかNHKは沖縄のニュースではなく,関東甲信越のニュースや天気予報を放送していた。

南大東島はほとんどがサトウキビ畑なので,島内に残されたまとまった緑地は,大東神社や海岸の植物群落など,一部に限られる。大東神社には,固有種のダイトウオオコウモリが生息しているらしい(画像3)。

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画像3.ダイトウオオコウモリが生息しているようだ。

この神社の境内では,サンコタケ(画像4)が見られた。もともと島に分布していたのか,八丈島あたりから移入してきたのかはわからない。

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画像4.大東神社で見られたサンコタケ。

また,沖縄本島から移入されたと思われるリュウキュウマツの樹下には,コフキクロツチガキと思われるヒメツチグリ属菌が見られた(画像5)。これはおそらく沖縄本島からやってきた菌だろう。

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画像5.リュウキュウマツの樹下に生えていたヒメツチグリ属菌。

ちなみに,南大東島はサンゴ礁が隆起してできた島で,島の周囲は断崖絶壁である(画像6)。もともとこの島は,ニューギニアあたりで誕生し,だんだん移動して現在の位置に到達したのだという。砂浜はなく,海岸の岩場に固有の植物群落があるようだ。明日は海岸などを回る予定である。

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画像6.断崖絶壁が連なる南大東島の海岸。
posted by きのこのねどこ at 20:30| きのこ,菌類

2012年02月11日

やんばるのきのこ

昨日は沖縄本島北部の,やんばるの森を歩いた。国頭村の与那覇岳周辺には,亜熱帯性植生のうっそうとした森林が広がっており(画像1),ヤンバルクイナやヤンバルテナガコガネといった希少生物が生息していることで有名である。

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画像1.国頭村の与那覇岳周辺の森林。

昨日は与那覇岳の登山道を,山頂目指して歩いた。林内には,ヒカゲヘゴなど亜熱帯を感じさせる植物が多数見られた(画像2)。

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画像2.大きなヒカゲヘゴが,やんばるの森にいることを感じさせる。

この林内には,きのこの姿も多かった。リュウキュウマツやイタジイなどの外生菌根性の樹木があるため,ヒダハタケの仲間(画像3),ベニタケ属菌,チチタケ属菌,カノシタなどのきのこが見られた。

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画像3.ヒダハタケの仲間が群生していた。

また,ナガエノチャワンタケと思われるきのこも目立った(画像4)。腐生性のきのこでは,ヒトヨタケの仲間,カンゾウタケなどが目を引いた。

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画像4.ナガエノチャワンタケと思われるノボリリュウ属菌。

腹菌類の種数は少なかったが,古いホコリタケの仲間の子実体が至る所に出ていた(画像5)。これらのホコリタケの仲間はいつ発生したものだろうか。

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画像5.ホコリタケの仲間が多かったが,いずれも古い子実体ばかりだった。

きのこを観察しながら,のろのろと登山道をのぼっていくと,与那覇岳の山頂に到達した。与那覇岳は沖縄本島では最も高い山だが,標高は500m程度である。山頂からはやんばるの森が一望できるかと期待していたが,ささやぶに囲まれて眺望はなかった(画像6)。

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画像6.与那覇岳の山頂。眺望はない。

今日は,沖縄本島を後にし,那覇空港からプロペラ機で南大東島に渡った。南大東島は,沖縄本島とはかなり違った感じで,なかなかおもしろそうなところである。明日から14日まで,島内をゆっくりと回ってみたい。
posted by きのこのねどこ at 21:30| きのこ,菌類

2012年02月09日

沖縄のヒメツチグリ属菌

茨城はあまりに寒い日が続くので,寒さを逃れて(?)昨日から,沖縄県に調査に来ている。今日は沖縄本島の南城市と那覇市で,きのこ採集をおこなった。南城市の斎場御嶽(せいふぁーうたき)は,世界遺産に登録されており(画像1),観光客が絶えない。

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画像1.世界歴史遺産に登録された斎場御嶽。琉球王朝発祥の地とのこと。

斎場御嶽の敷地には亜熱帯の森林が広がり,森林内には礼拝のための施設が点在していて,琉球王朝時代の面影を伝えている(画像2)。

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画像2.斎場御嶽の敷地内には,このような遺構が点在する。

森林内では,ヒメツチグリ属菌(画像3)や,ノウタケの仲間の老菌が見られたが,きのこの姿は全体的に少なかった。

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画像3.ヒメツチグリの仲間が少しだけ生えていた。

また,林内の腐朽木上には,ボタンタケの仲間(画像4)などが見られた。

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画像4.薄い黄色のボタンタケの仲間が材上に群生していた。

一方,那覇市内の弁ヶ岳では,コフキクロツチガキと思われるヒメツチグリ属菌(画像5)が群生していた。孔縁盤が扇だたみ状で明瞭である。

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画像5.コフキクロツチガキと思われるヒメツチグリの仲間。

弁ヶ岳は標高160mほどの小高い丘で,頂上からは那覇市内が一望できる。首里城の姿もはっきりと見えた(画像6)。

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画像6.弁ヶ岳の頂上から首里城方面を望む。

明日は沖縄本島北部の,やんばるの森周辺で調査をおこない,11日から13日までは南大東島を訪問することになっている。14日に南大東島から那覇を経由して,茨城に戻る予定。
posted by きのこのねどこ at 21:06| きのこ,菌類

2012年02月02日

偕楽園のプラナリア

今日は水戸市の偕楽園にプラナリアを採集しに行った。園内の吐玉泉という湧水から流れ出る沢(画像1)に,プラナリアが生息しているという。現地に行って,沢の中の小石をひっくり返すと,確かに,プラナリアが多数見つかった。

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画像1.吐玉泉から流れ出る沢。真冬でもプラナリアがたくさん見つかった。

石にへばりついているプラナリアを,筆を使ってペットボトルの中に落とした。ペットボトルには,あらかじめこの沢から汲んだ水を入れておいた。すると,プラナリアたちはペットボトルの側面を活発に動いていた(画像2)。

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画像2.ペットボトルに入れておくと,プラナリアは結構活発に,素早く動く。

その後,同行していた筑波大の大学院生が,サクラの木に生えるきのこを採りたいというので,サクラ並木の街路樹などを見回ってみた。水戸市内の道路脇では(画像3),伐採されたサクラの切り株が目立った。

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画像3.水戸市元吉田町付近の道路脇には,サクラの切り株が多かった。

道端の切り株を覗いてみると,中心部が空洞になっているものがあった(画像4)。きっとベッコウタケか何かのきのこ類にやられたものだろう。

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画像4.中心部が空洞になったサクラの切り株。

空洞の内部には,白色の硬いきのこの子実体が群生していた(画像5)。この白色のきのこは,サクラの木が枯れた後にとりついた,木材腐朽菌ではないだろうか。

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画像5.空洞の内部に生えていた硬いきのこ。

その後,土浦市の竜ヶ峰(茨城県立中央青年の家付近)のサクラ並木を見てみた(画像6)。この場所では,カワラタケ,チャカイガラタケ,ベッコウタケなどのきのこが,サクラの木々に採りついているのが見られた。あとでDNAを採るとのことなので,これらのきのこを採集し,帰路に着いた。

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画像6.土浦市の竜ヶ峰のサクラ並木。立派な大樹が多い。
posted by きのこのねどこ at 19:46| 自然

2012年02月01日

プラナリアを探しに

しばらくブログの更新を怠っていたが,目下抱えていた課題が次々と終了してきたので,そろそろ更新を再開しようと思う。

このところ寒さが厳しく,しかも乾燥しているので,きのこ観察の目的では野外に出ていない。ただ,教材用のプラナリアを採集しようと,茨城県内の主要な生息地を歩いている。プラナリアは湧水などきれいな水が流れる小川などに生息する水生生物である。体の再生能力があるなど,興味深い性質があるため,高校などでは生物の授業の教材などとして用いられることもある。

プラナリアは,県内では水戸市の偕楽園や千波湖周辺,土浦市(旧新治村)の筑波山ろく,また桜川市の筑波山北斜面などに,多く生息しているらしい。今回は,桜川市と土浦市の生息地に出かけてみた。

桜川市の生息地は,筑波山の北側,標高500m付近にある筑波高原キャンプ場付近の沢とのことで,キャンプ場に向かう林道を車で上って行った。しかし,林道は1月下旬の雪の影響で,路面が著しく凍結していた(画像1)。スタッドレスタイヤを履いた,四輪駆動でマニュアルの車で行ったのだが,上りはともかくとして,下りはカーブのたびによく滑った。路面もこのような状況なので,当然,キャンプ場周辺の沢も雪や氷に閉ざされ,プラナリアの採集どころではなかった。

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画像1.桜川市の筑波高原キャンプ場に向かう林道。路面はずっとこんな状態で凍結がひどかった。

タイヤを滑らせながらも林道を下り,筑波山の山すそを通って,今度は土浦市の生息地に行ってみた。ここは山腹ではなく,完全に山すそなので路面凍結の心配はなかった。土浦市では,筑波山東側の,朝日峠周辺の沢に生息しているらしいので,その付近の沢を丹念に見てみた。沢の中の石をひっくり返して,プラナリアが付いていないか探したが,見つかるのはカワゲラとかトビゲラ,またヘビトンボの幼虫といった水生昆虫ばかりで,プラナリアは見つからなかった。プラナリアは,冬はあまりいないのだろうか。明日は水戸に採集に行ってみよう。ところで,付近の農家の庭先には,小さなふくれ蜜柑の実がなっていた(画像2)。小さくすっぱい蜜柑だが,なかなか味わい深く,筑波山周辺を特徴づける果樹である。

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画像2.筑波山ろくの農家の庭先には,ふくれ蜜柑の実がなっていた。
posted by きのこのねどこ at 19:44| 自然

2011年12月31日

凍っていたフミヅキタケ

昨日,帰省する前に,阿見町のウッドチップが撒かれた城址公園に行ってみた。雑木林は寒々とした冬景色である(画像1)。林を抜けて,ウッドチップが撒かれた場所にやってくると,黒くなったフミヅキタケ属菌の残骸が見られた(画像2)。

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画像1.冬の雑木林は乾燥して,寒々としていた。

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画像2.フミヅキタケ属のきのこが,枯れて残っていた。

その傍らには,比較的最近に発生したと思われる,まだ新鮮なフミヅキタケ属のきのこも出ていた(画像3)。

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画像3.かさの表面は乾燥してきているが,まだ新鮮な子実体。

いくつか新鮮な子実体が生えていたが,いずれも霜がおりて凍っていた(画像4)。ウッドチップも霜が混じって,固く凍っていた。このフミヅキタケ属のきのこは,一年中生えるのだろうか。

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画像4.かさの裏に霜がついて凍っている子実体。

2011年も今日でおしまい。今年も大変お世話になりました。来年こそ良い一年になりますように。
posted by きのこのねどこ at 09:15| きのこ,菌類

2011年12月13日

初雪

このところあわただしい日々を過ごしており,なかなか野外に出る機会がなかった。先週末にひと段落したので,9日(金)に筑波山に行ってみた。9日の朝には,茨城県内では初雪となった。平野部は積雪はなかったが,筑波山は冠雪していた。霞ヶ浦の湖岸から眺めると,山腹に雲がかかり,冠雪した山頂部が雲間から突き出ていて,八ヶ岳などの高山のように見えなくもない(画像1)。

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画像1.なんとなく筑波山が標高の高い山のように見える(??)

山腹の風返峠付近は,一部積雪していた(画像2)。今年は初雪がやたらと早い。

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画像2.風返峠の筑波スカイライン入口。少し雪が積もっていた。

風返峠から山頂付近を見ると,ブナ林に雪がかかっているのが見えた(画像3)。最近は,だいぶ寒さが厳しくなってきたので,このぶんだときのこの季節も終わりと言ってよいだろう。今年も残り20日程度となった。やり残したことはたくさんあるが,今抱えている仕事をできるだけ片付けておきたいものである。

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画像3.風返峠から,筑波山の山頂付近を見上げた図。
posted by きのこのねどこ at 17:14| 自然

2011年11月17日

久々にチップ上のきのこ

今日は茨城県南部の,阿見町と利根町の里山を歩いてみた。どこも晩秋の装いで,紅葉もはじまり,のどかな景色が広がっていた。阿見町の城址公園(画像1)には,ウッドチップが播かれたところがあり,ここにはいろいろなきのこが生えていた。

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画像1.阿見町の下小池城址公園。最近整備が進み,案内板なども設置され,ウッドチップが播かれた場所もあった。

ウッドチップ上には,フミヅキタケの仲間(画像2)やカニノツメ(画像3)が特に多く,どちらも100本以上の子実体が大発生していた。以前,修士課程の研究でツブエノシメジを取り扱っていた際は,よくウッドチップが播かれた場所に調査に行ったが,そのときもフミヅキタケの仲間がやたら目についたのを思い出した。今日はツブエノシメジは見られなかった。

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画像2.チップ上に大発生するフミヅキタケの仲間。柄にはつばの痕跡がある。

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画像3.カニノツメも,足の踏み場がないくらい生えていた。

また,ここのウッドチップ上には,ヒトヨタケの仲間やハタケチャダイゴケなどに交じって,チャツムタケ属のきのこも姿を見せていた(画像4)。

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画像4.かさと柄が紫色を帯びるチャツムタケの仲間。

このきのこは,以前に東京都御蔵島や富山県などで採集された,Gymnopilus luteofoliusに似ているようだ。ただ,ミドリスギタケなど近縁種との形態的特徴の比較が今後必要である。なお,本種と思われる標本は,今年の夏に愛知県でも採集されている。御蔵島でも夏に採集していたので,どちらかというと高温期のきのこという感じがしていたが,気温の低い11月中旬にも出ることがわかった。幼菌の方が,より濃い紫色を帯びている(画像5)。

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画像5.G. luteofoliusと思われるきのこの幼菌。

そのほか,この場所ではカヤタケ属,ヒメキシメジと思われるきのこ,キツネタケ属,ベニタケ属など,いろいろなきのこが見られた。

一方,利根町のタケ類を主体とする平地林では,ムラサキシメジが群生していた(画像6)。かさ表面はあまり紫がかっていないが,ひだはきれいな薄紫色をしていた。また,複数のカヤタケ属菌や,ハタケキノコと思われるフミヅキタケ属菌などが目立った。

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画像6.これはムラサキシメジだが,紫色をしていない。

今年の秋は割と気温が高い日が多かったせいか,茨城県南部の平地では,11月の半ばになってもまだまだきのこが多く見られる。もうしばらくの間,野外での観察ができそうである。
posted by きのこのねどこ at 20:18| きのこ,菌類